遺言書による不動産相続登記
例えば、ある人が亡くなって、その人の遺言書によって、遺産たる不動産を遺贈された場合、これを承継して登記するまでには多数のハードルを越える必要があります。
まずは、遺言の有効性です。
すなわち、遺言には①自筆証書遺言(民法968条)②公正証書遺言(969条)③秘密証書遺言(970条)の3種類がありますが、当該遺言がこれらのいずれかに該当し、かつそれらの方式にしたがったものでないと、遺言の有効性が認められず、遺贈もまた無効となってしまいます(967条本文参照)。
次に、検認手続(1004条)です。
これは、当該遺言が②公正証書遺言以外の遺言、すなわち、①自筆証書遺言と③秘密証書遺言の場合に受ける必要のある手続で、家庭裁判所による遺言書の検認を受けます。この手続は、遺言書の偽造等を防ぎ、もって遺言書の保存を図る制度で、これを受けないと当該遺言が無効になるわけではありませんが、過料に処されるおそれがあります(1005条)。
そして、当該遺言が有効であると認められれば、それに基づき所有権移転登記手続を行います。
このとき、遺言執行者(1006条以下参照)がいればその者と、同人がいなければ相続人と共に、所有権移転登記を共同申請します(共同申請主義、不動産登記法60条)。もっとも、①自筆証書遺言の場合で、遺言の有効性を疑う相続人がいるような場合には、相続人が所有権移転登記手続に協力しない場合も多々あるので、その場合には、当該相続人に対して、所有権移転登記手続請求訴訟を提起することになります。
最後に、遺言書による相続登記申請書には、登記原因証明情報(=遺言書)、登記義務者の権利に関する登記済証、相続人または遺言執行者の印鑑証明書、申請者の住民票謄本を添付する必要があります。
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